外国語学部への進学を考えるとき、海外で学べる制度は大きな魅力です。
ただ、大学案内に「交換留学」「留学先授業料免除」と書かれていても、実際にいくら準備すればよいのか、すぐには分からないことがあります。
「留学先の授業料が免除なら、日本の大学にも払わなくてよい?」「半年間の留学費用に、現地の家賃は含まれる?」「留学すると卒業が延びる?」
留学費用は、日本の大学への納入金、留学先への支払い、渡航・滞在費の3つに分けて考えるのが基本です。留学先の授業料が免除されても、留学全体が無料になるわけではありません。
この記事では、日本の大学に在籍しながら海外へ留学する場合を中心に、費用の確認方法を紹介します。

最初に確認するのは「どの制度で留学するか」
同じ国や大学へ行く場合でも、利用する制度によって学費の扱いが変わります。
交換留学、私費留学、短期語学研修といった名称だけで判断せず、所属大学がどのように定義しているかを確認しましょう。
| 留学の形 | 費用面で確認すること |
|---|---|
| 交換留学 | 日本の大学への納入金、留学先の免除範囲 |
| 私費・認定留学など | 留学先授業料、日本側の学費・在籍料の扱い |
| 短期語学研修 | 参加費に含まれる授業・宿泊・移動の範囲 |
| 学部独自の留学プログラム | 必修・選択、追加徴収、支援制度の条件 |
制度の名称や在籍上の扱いは、大学によって異なります。「私費留学なら必ず休学」「認定留学なら必ず同じ費用」といった一律の判断は避けてください。
大学選びの段階では、外国語学部・語学学科の学費一覧で候補を整理し、留学費用は別項目として確認すると比較しやすくなります。
なお、一覧の過年度データは参考情報です。自分の入学年度の学費は、各大学の最新資料で確認しましょう。
交換留学でも、日本の大学への学費が必要な場合がある
交換留学の「授業料免除」が、どちらの大学の授業料を指すのかは重要な確認点です。
たとえば、上智大学の交換留学案内では、留学期間中の学費は上智大学に納め、留学先大学の授業料は免除されると説明されています。個人で参加する語学講座などは、別途自己負担とされています。
電気通信大学の交換留学費用案内でも、留学先の授業料は免除される一方、留学期間中は同大学への授業料が必要と説明されています。
つまり、予算表で留学先授業料を0円とする場合でも、日本の大学への支払いまで0円にしてよいとは限りません。
確認したいのは「免除される項目」
大学の窓口では、次のように質問してみましょう。
「留学期間中、日本の大学に納める費用と、留学先で免除される費用を、それぞれ教えてください。」
授業料以外の登録料、施設利用料、教材費などが別に必要かも確認します。
「授業料免除」という言葉だけで、留学先への支払いがすべてなくなるとは考えないことが大切です。
留学費用は3つの枠に分ける
費用の見落としや二重計上を防ぐため、最初から次の3つに分けて記録しましょう。
1.日本の大学に支払う費用
授業料、施設関連費、在籍に伴う費用など、留学中に必要な納入金を確認します。
減免や返金制度がある場合は、対象条件と手続き、反映される時期まで確認してください。いったん支払った後に返金される仕組みなら、先に用意する金額は別に考える必要があります。
2.留学先・プログラムに支払う費用
留学先の授業料、プログラム参加費、登録料などを整理します。
参加費に宿泊や食事が含まれている場合は、その範囲を明記しましょう。別の欄でも同じ宿泊費を加えると、総額を多く見積もってしまいます。
3.渡航・滞在に必要な費用
航空券、現地の住居、食事、交通、通信、教材、指定の保険などを整理します。
渡航書類や健康関連の準備については、渡航先と大学の最新案内で必要な項目を確認し、自分に該当する費用だけを計上してください。
「留学総額」に日本の学費が含まれているとは限らない
大学が公開する留学費用の目安は、計画を立てるうえで参考になります。ただし、総額という見出しだけで判断せず、注記を読むことが大切です。
電気通信大学の2026年4月時点の案内では、国・地域別の費用例に生活費、航空券、保険、危機管理費用を含める一方、同大学へ支払う授業料は含めていないと明記しています。
こうした資料を使う場合は、掲載額に日本の学費を加える必要があるか確認します。
費用表には、次の情報も一緒に残しておきましょう。
- 何年何月時点の見積もりか
- 何か月分の費用か
- どの費用が含まれるか
- 奨学金を差し引く前か、後か
- 現地通貨か、日本円か
見積もりの条件をそろえることで、異なる大学やプログラムを比較しやすくなります。
半年間の留学費用を計算する例
以下は計算方法を説明する架空の例です。特定の国・大学の料金や、留学費用の相場ではありません。
| 項目 | 仮の金額 |
|---|---|
| 留学期間中の日本の大学への納入金 | 600,000円 |
| 留学先授業料 | 0円と仮定 |
| 往復航空券 | 180,000円 |
| 住居・食費など | 月120,000円×6か月=720,000円 |
| 指定保険・手続き関連費 | 100,000円 |
| 教材・現地交通など | 60,000円 |
| 合計 | 1,660,000円 |
この例では、留学先の授業料が免除でも、合計は0円にはなりません。
ただし、日本の大学への600,000円が、留学せず国内で学ぶ場合にも必要な費用なら、全額を「留学によって増える費用」と呼ぶのは適切ではありません。
総支出と追加負担を分けて考える
家計の比較では、次の2つを別に整理すると分かりやすくなります。
留学する場合の総支出:留学期間に実際に支払う費用の合計
留学による追加負担:留学する場合の総支出-同じ期間を国内で過ごす場合の総支出
日本の住居を維持するか、解約するかによっても差が出ます。留学中も家賃を払い続ける場合は、現地の住居費に加えて計上してください。
現地通貨の費用は、日本円の見積もりと分けて残す
住居費などが現地通貨で示されている場合は、換算した日本円だけでなく、元の金額も保存しましょう。
為替が変わったとき、同じ条件で計算し直せるようになります。
以下も計算方法を示す仮定です。
| 条件 | 月額800通貨単位の住居費 |
|---|---|
| 1通貨単位=150円と仮定 | 120,000円 |
| 1通貨単位=165円と仮定 | 132,000円 |
| 月額の差 | 12,000円 |
| 6か月分の差 | 72,000円 |
これは為替予測ではありません。同じ現地価格でも、日本円で用意する金額が変わることを示す例です。
実際の予算では、送金や決済の手数料が別に必要かも確認し、見積もり日を記録しておきましょう。
卒業時期と単位認定も、費用に関わる
留学中に取得した単位が、どの範囲で卒業要件に認められるかは、大学・学部・履修内容によって異なります。
留学期間が在学期間として扱われる場合でも、それだけで予定どおり卒業できると確定するわけではありません。
出発前に、次の点を教務担当へ確認してください。
- 留学先で履修する科目の事前相談が必要か
- 単位認定に必要な資料は何か
- 日本の大学の必修科目をいつ履修するか
- 帰国時期と授業開始時期が合うか
- 在学期間が延びる場合、どの費用が発生するか
追加の在学期間が必要なら、学費だけでなく、その期間の住居費・生活費も計画に関わります。
「留学できるか」と「希望する時期に卒業できるか」を、別の確認事項として扱いましょう。
奨学金は金額だけでなく、採否と入金時期を確認する
支援制度を利用する予定があっても、申請段階の金額を確定した収入として扱わないことが大切です。
まずは支援適用前の総額を作り、採用された場合の自己負担額を別に計算しましょう。
| 確認項目 | 聞いておきたいこと |
|---|---|
| 対象条件 | 自分の制度・留学先・期間が対象か |
| 選考 | 応募条件と採否が分かる時期 |
| 支給額 | 月額か一括か、対象月数は何か |
| 入金時期 | 出発前か、留学開始後か |
| 併用 | 他の支援と同時に利用できるか |
| 変更時 | 中止・短縮・延長時の扱い |
採用が決まっていても、支援を受け取る前に航空券や住居関連費を支払う可能性があります。
最終的な自己負担額と、出発前に準備する金額を分けると、支払いの順番を把握しやすくなります。
外国語学部を選ぶときに聞いておきたい質問
留学制度を重視して大学を比較する場合は、制度があることだけでなく、自分が利用する条件を確認しましょう。
そのまま使える質問例は、次のとおりです。
「留学は必修ですか、希望者向けですか?」
「交換留学の選考条件と募集人数を確認できますか?」
「留学中、日本の大学に支払う費用はいくらですか?」
「公開されている費用例には、何が含まれていますか?」
「単位認定と卒業までの履修計画は、どの窓口で相談できますか?」
「出発前に必要な支払額と、奨学金の入金時期を教えてください。」
制度への応募資格と、留学先への派遣が決まることも別です。語学要件や学内選考については、対象年度の募集要項で確認してください。
留学費用の比較シート
| 確認項目 | プログラムA | プログラムB |
|---|---|---|
| 制度名・対象年度 | ||
| 留学期間 | ||
| 必修・選択 | ||
| 日本の大学への納入金 | ||
| 留学先授業料・参加費 | ||
| 航空券などの渡航費 | ||
| 住居費・食費 | ||
| 保険・指定サービス費 | ||
| 教材・交通・通信費 | ||
| 日本に残る固定費 | ||
| 支援適用前の総額 | ||
| 採用済みの支援額 | ||
| 出発前の必要資金 | ||
| 卒業時期への影響 | ||
| 未確認事項 |
未確定の金額は0円にせず、「未定」「見積もり待ち」と記入します。費用が免除される場合も、対象項目と確認資料を残しておきましょう。
よくある質問
交換留学なら学費は無料ですか?
留学先の授業料が免除されても、日本の大学への学費が必要な制度があります。どちらの大学の、どの費用が免除されるのか確認してください。
外国語学部に入れば必ず留学できますか?
大学やプログラムによって異なります。必修・選択の区分、語学要件、選考、派遣人数を確認しましょう。
私費留学で休学すれば、日本の学費はかかりませんか?
大学の規程と在籍上の扱いによります。在籍料などが必要な場合もあるため、休学中の納入金と手続き期限を確認してください。
半年留学すれば、卒業も半年延びますか?
一律には決まりません。単位認定、必修科目の開講時期、帰国時期などを踏まえて、教務担当と履修計画を確認しましょう。
留学費用の目安に奨学金を差し引いてよいですか?
支援適用前の総額を残したうえで、採用状況に応じた別の計算を作りましょう。未採用の支援を確定収入として扱わないことが大切です。
留学制度の名前より、支払先と条件を確かめよう
外国語学部の留学費用を調べる際は、「交換留学だから安い」「授業料免除だから安心」と名称だけで判断せず、自分に適用される条件を確認することが大切です。
日本の大学、留学先、移動と滞在の費用を分ければ、何をいつ準備すればよいのかが見えてきます。
まずは希望するプログラムの費用表を取り寄せ、含まれていない項目を書き出してみてください。そのうえで学びたい内容や単位認定も確認すると、費用と学習計画を合わせて比較できます。
